海外でも花粉症になる?国ごとの花粉シーズンと対策を薬剤師が解説
「海外に行けば花粉症から解放される」という話を聞いたことがあるかもしれません。
しかし、実際には海外にもさまざまな種類の花粉が存在し、日本では症状がなかった人でも、現地の花粉に反応して鼻水やくしゃみ、目のかゆみなどが現れることがあります。
この記事では、海外の花粉症事情や国・地域ごとの違い、日本との花粉シーズンの違い、渡航前にできる対策について薬剤師の視点からわかりやすく解説します。
海外でも花粉症は起こるのか?
まず大前提として、花粉症は日本だけの病気ではありません。世界中に、それぞれの地域特有の花粉症が存在します。
花粉症とは、特定の植物の花粉に対するアレルギー反応によって起こるものです。そのため、原因となる植物が生育している地域であればどこでも発症する可能性があります。
日本の花粉症の原因はスギ・ヒノキが中心
日本で最もよく知られている花粉症の原因はスギ花粉とヒノキ花粉で、主に2〜6月頃に飛散する春の花粉です。国土の広い範囲にスギ・ヒノキの人工林が存在することが背景にあります。
特にスギ花粉が原因となっているケースが多く、日本の花粉症患者の約70%を占めるともいわれています。
また、春だけでなく秋に花粉症症状が出る人もいます。その場合は、イネ科植物やブタクサなどの雑草花粉が原因となっている可能性があります。
海外で多い花粉はイネ科・ブタクサなど
海外で多くみられるのは、イネ科植物(牧草・芝生など)やブタクサをはじめとする雑草花粉による花粉症です。
そのため、日本でスギ・ヒノキのみに花粉症がある人が海外へ渡航した場合は、症状が出ないこともあります。
一方で、日本でもイネ科やブタクサによる花粉症がある人は注意が必要です。同じような花粉が飛散している地域や時期に海外へ行くと、症状が現れる可能性があります。
国・地域別|海外の花粉症事情
渡航先によって、花粉症の原因植物や飛散時期は異なります。ここでは代表的な地域の花粉事情を一覧で紹介します。
| 国・地域 | 植物の種類 | 飛散のピーク |
| 韓国 | シラカバ、オーク、マツ ブタクサ、ヨモギ |
3月〜5月 8月〜10月 |
| 北米 | シラカバ、芝・雑草 ブタクサ |
4月〜6月 8月〜10月 |
| ヨーロッパ | イネ科、シラカバ | 4月〜8月 |
| オーストラリア | イネ科、ヨモギ | 9月〜11月 |
日本からの観光でも人気の高い、タイ・マレーシア・シンガポールなどの東南アジア地域では、年間を通して花粉の飛散量は少なく、一般的には花粉症の心配はあまりないとされています。
海外旅行に備えてできる花粉症対策
ここからは、渡航先で花粉症の症状がひどくならないように、自分でできる花粉症対策を紹介します。
少しでも症状を抑えられるよう、できる範囲で準備しておきましょう。
渡航の2週間〜1ヶ月くらいから薬を飲み始める
日本でも花粉症治療を受けている場合、花粉シーズンが始まる少し前から服用を始めている方もいるかもしれません。
抗ヒスタミン薬や点鼻薬のなかには、2週間〜1ヶ月ほど継続して使用することで、効果を実感しやすくなるものもあります。
そのため、渡航先で花粉の飛散が予想される場合は、旅行直前ではなく、少し早めに治療を開始することを検討してもよいでしょう。
なお、具体的な開始時期は使用している薬によって異なるため、心配な場合は医師や薬剤師に相談してください。
マスクや花粉症用メガネを活用する
マスクや花粉症用メガネは、花粉が目や鼻に入る量を減らすのに役立ちます。
ただし、海外では日本ほどマスクを着用する習慣が一般的でない地域もあります。場面や地域の雰囲気に合わせて、必要なときに着用するなど柔軟に使い分けるとよいでしょう。
ホテルでは花粉を落としてから部屋に入る
ホテルの部屋に入る際は、上着や髪についた花粉を軽くはらう習慣をつけましょう。
また、部屋にある空気清浄機を使うのも効果的です。ホテルによっては貸し出し制になっていることもあるため、必要に応じてフロントスタッフに確認してみると安心です。
花粉症の薬は海外に持ち込める?
花粉症のための処方薬や市販薬は、原則として海外に持ち込んでも問題はありません。
ただし、トラブルを避けるためにも持ち込みのルールや規制成分などを正しく理解しておく必要があります。
海外旅行で薬を持ち込む基本ルール
花粉症の薬に限った話ではありませんが、日本から海外に薬を持っていく際は、以下のような点に注意する必要があります。
- 旅行中に自分が使用する分だけを持参する
- 元の包装のまま、何の薬かわかる状態で持っていく
- 飛行機ではできるだけ手荷物で管理する
- 英文の診断書や処方箋の写しを準備しておくと安心
花粉症では目薬や点鼻薬といった液体の薬を使用している人も多いでしょう。
航空会社や空港のルールにもよりますが、医薬品は液体物の持ち込み制限とは異なる扱いとなることが多く、機内に持ち込めるケースが一般的です。
持ち込みに注意が必要な成分
花粉症の薬の中で、海外への持ち込み規制がかかっている可能性がある成分として、プソイドエフェドリンが挙げられます。
プソイドエフェドリンは、鼻の粘膜の充血を抑え、鼻づまりを改善する成分ですが、覚醒剤の原料になり得ることから、多くの国で持ち込み規制の対象となっています。
日本では処方薬だけでなく、市販薬にも使用されており、例えば以下のような製品に含まれています。
- ダン鼻炎錠
- アレグラFXプレミアム
- アルガード鼻炎内服薬Z
- アネトンアルメディ鼻炎錠
- パブロン鼻炎カプセルSα
渡航先によっては持ち込むと没収や罰金の対象になる可能性もあります。そのため、持参する場合は渡航先の最新情報を確認しておきましょう。
また、鼻炎薬を選ぶ際は成分表示を確認し、判断に迷う場合は薬剤師に相談してから購入すると安心です。
よくある質問(FAQ)
ここでは、海外での花粉症についてよく寄せられる質問にまとめてお答えします。
Q1. 海外で急に花粉症になることはある?
あります。
花粉症は特定の花粉に対するアレルギー反応として起こるため、日本にいるときには接触機会が少なかった花粉に、海外滞在中に繰り返し触れることで新たに発症するケースがあります。
特に長期滞在や留学では、現地の花粉に長期間さらされるため注意が必要です。
Q2. 南半球に行く場合、日本の花粉症シーズンとどう違う?
オーストラリアやニュージーランドでは、花粉シーズンのピークが9〜11月頃と、日本の春の花粉シーズンとは大きく異なります。
日本のスギ花粉の飛散時期(2〜4月頃)とはずれているため、日本では症状が落ち着いている時期でも、現地では花粉が多く飛散している可能性があります。
渡航時期が現地の花粉シーズンと重なっていないか、事前に確認しておくと安心です。
Q3. 海外でも同じ花粉症の薬は買える?
海外でも、アレルギーの薬をドラッグストアや薬局で購入できる場合が多いです。
ただし、含まれている成分や量が日本と異なることがあります。日本より強く作用して、眠気や口の渇きなどの副作用が出やすくなる場合もあるため注意が必要です。
現地で薬を購入する際は、日本で使用している薬の成分名や用量を薬剤師やスタッフに伝えると、似た成分の商品を探してもらいやすくなります。
国ごとの花粉症情報を調べておきましょう
海外にも花粉症は存在し、渡航先の花粉の種類やシーズンを知らずに油断していると、思わぬ症状に悩まされることがあります。
今回のポイントを整理すると、次のとおりです。
- 海外の花粉症の原因はイネ科やブタクサが多い
- 渡航先の花粉の種類・季節は国によって違う
- 花粉症の症状を和らげるための予防対策をする
- プソイドエフェドリンの持ち込み規制に注意する
渡航先の花粉事情を踏まえて準備を整え、安心して海外旅行や滞在を楽しんでください。
参考文献
American College of Allergy, Asthma & Immunology「Pollen Food Allergy Syndrome」
Allergy & Asthma Network「What is Oral Allergy Syndrome (OAS)?」
厚生労働省検疫所 FORTH「海外渡航者のための感染症・健康情報」
外務省 海外安全ホームページ


