海外旅行に向けた準備中。ワクワクする一方でこんな不安を感じるかもしれません。

「旅行中に体調を崩したらどうしよう」
「言葉がわからない海外で病院にかかるのは怖い」

実際、慣れない海外で体調を崩してしまう方は珍しくありません。

だからこそ、何かあった時に対応できるよう、日本の薬を準備して安心して旅を楽しむことが大切です。

この記事では、海外旅行におすすめの常備薬や持参する際の注意点を、薬剤師がくわしく解説していきます。

海外旅行に日本から薬を持参した方がよい理由

「体調を崩したら最悪現地でどうにかすればよい」と思う方もいるかもしれません。

しかし、ぜひ日本から薬を持っていくことをおすすめします。まずはその理由をみていきましょう。

旅行中は慣れない環境で体調を崩しやすい

海外旅行中は、日本での生活とは環境が大きく変わるため、体調を崩しやすくなります。

【海外で体調を崩す主な原因】
  • 長時間フライトや時差による生活リズムの乱れ
  • 食事内容や水の違い
  • 暑さ・乾燥・寒暖差などの気候変化
  • 観光や移動が続く過密なスケジュールによる疲労

「明らかな病気まではいかないけど、なんとなく調子が悪い」ということも多く、症状が軽いうちに持参薬で対処できるかどうかで残りの日数の充実度が変わってきます

海外では日本のように気軽に医療機関を受診できない

海外では、日本と同じ感覚で医療機関を受診できないことも少なくありません。

言語の問題や病院へのかかり方がわからない、高額な医療費など、受診のハードルは高く感じやすいものです。また、旅程をずらしたくないという理由で受診をせずに無理をしてしまう方もいるでしょう。

常備薬があれば、すぐに受診せず様子をみるという選択ができ、夜間や移動中でも対応が可能です。

日本と同じ成分・量の薬が手に入るとは限らない

海外でも、市販薬はドラッグストアなどで購入できることが多いですが、よく理解しないまま服用するのはおすすめできません。

なぜなら海外の市販薬は、日本のものとは成分が違ったり、成分の量が多く含まれていたりすることがあるためです。

たとえば解熱鎮痛剤として広く使用される「アセトアミノフェン」の薬は、日本では1錠あたり100〜300mg含まれているものが多いですが、アメリカやカナダなどで売られているものは500mgのものも一般的です。

このように同じ成分の薬であっても、効きすぎてしまって副作用が出るというリスクがあります。

海外旅行に持っていくべきおすすめの薬

それでは、ここからは海外旅行に日本から持っていくべきおすすめの薬を紹介します。

海外旅行で起こりやすい体調不良を想定して紹介しますので、ぜひ常備薬セットとして参考にしてください。

下痢止め・胃腸薬

海外旅行で多いトラブルが、下痢や腹痛などの胃腸症状です。

  • 現地の香辛料が合わなくてお腹の調子が悪い
  • 水道水や氷でお腹が痛くなってしまった
  • 気温の変化や疲れから胃腸の調子が悪い

このようなことはよくあります。そのため、下痢止めや整腸薬、胃薬を持っておくと安心です。

解熱鎮痛薬

発熱・頭痛・歯痛・筋肉痛など幅広い症状を想定して、解熱鎮痛剤も必ず用意していきましょう。

ただし、風邪薬など他の薬に解熱鎮痛剤の成分が含まれている場合があるので、重複して飲まないように注意が必要です。ぜひ購入する際に薬剤師や登録販売者に一度確認をしてみてください。

風邪薬

風邪の症状は熱・のどの痛み・咳・鼻水など様々です。

いつも風邪をひくときに特定の症状が強く出やすい方は、その症状に効果が期待できる薬を選ぶのもよいでしょう。

一方で、複数の症状がある場合や、どの薬を選べばよいか迷う場合には、発熱・のどの痛み・鼻水などをまとめて対処できる総合感冒薬を選ぶのも一つの方法です。

酔い止め薬

長時間のフライトや乗り継ぎ、現地でのバス移動など、海外旅行は乗り物に乗る時間が長くなりがちです。酔いやすい方は酔い止めも持っておくと安心です。

家族で海外旅行にいく場合は、お子様から大人まで使用できるファミリータイプの酔い止めも販売されています。錠剤やカプセル、口の中ですぐに溶けるタイプ、ドロップタイプなど薬の形も様々なので、使用される方にあったものを選びやすいでしょう。

皮膚外用薬

海外では、虫刺され・かゆみ・かぶれ・湿疹など、皮膚トラブルが起こりやすい環境も少なくありません。

特に日本からも人気の観光先である東南アジアなど、日差しが強かったり虫に刺されやすい地域に行く場合は持って行った方がよいでしょう。かゆみ止めや軽い炎症用の塗り薬などを用意しておきましょう。

抗アレルギー薬

日本では特に日頃アレルギーに悩まされていない方でも、現地の食べ物やホテルのハウスダストなど、予期せぬアレルギー症状が出ることもあります。

飲み薬の抗アレルギー薬は市販でも多く販売されていますが、眠気が出やすいものと比較的出にくいものがあります。

旅行中に車の運転などの予定があれば、眠気が出にくいタイプを選んでおく方がよいでしょう。

目薬

機内やホテルでは空気が乾燥しやすく、目の不快感や充血が起こることがあります。特に湿度の低い地域に行く場合は、目薬を持参しておくと安心です。

また、砂ぼこりや大気汚染などによる刺激対策としても役立ちます。乾燥による不快感が気になる方はドライアイ用の目薬、かゆみや炎症が気になる方はアレルギー・炎症用の目薬など、用途に応じて使い分けられるようにしておくと便利でしょう。

薬以外の衛生用品など

薬とあわせて、体調を崩さないために以下のようなものも用意しておくのがおすすめです。

  • 応急処置用の衛生用品(ガーゼ、絆創膏など)
  • 虫除けスプレー
  • 日焼け止め
  • 羽織れる上着
  • カイロ
  • ウェットティッシュ

事前に体調管理や感染対策をすることで、旅行を元気に楽しむことができるでしょう。

海外旅行用の常備薬セットを作るうえでのポイント

海外旅行の薬準備で大切なのは、「とりあえずたくさん持つこと」ではなく、自分に合った薬を必要な分だけ準備することです。

旅行先や滞在日数、同行者、体調によって、最適な常備薬セットは変わります。ここでは、常備薬セットを作るうえでのポイントを確認していきましょう。

使い慣れている薬を持っていく

海外旅行では、初めて使う薬はできるだけ避けたいところです。

日本で普段から使っている薬であれば、効き目の感覚が分かっている、副作用が出たことがあるかどうか把握できているという安心感があります。

旅行先・滞在日数にあわせて内容を調整する

旅行先によって、起こりやすい体調トラブルは異なります。

例えば、暑い国では下痢・脱水・皮膚トラブルが、乾燥した地域ではのどや目の不調が起こりやすくなります。環境に応じた備えが必要です。

また、持っていく薬の量は多過ぎず少な過ぎずの量にしましょう。

多すぎると商業用に持ち込んだのではと空港などで疑われる可能性があり、一方で少なすぎると、体調を崩した際に足りなくなってしまうことがあります。

量の目安としては、旅行日数+予備日数」程度が良いでしょう。

薬の飲み合わせに注意する

複数の薬を持参すると、成分の重複や飲み合わせの問題が起こりやすくなります。

特に注意したいのは以下の4種類です。

  • 解熱鎮痛薬
  • 風邪薬
  • 抗アレルギー薬
  • 酔い止め薬

これらは、違う目的で販売されていても似たような成分が入っていることがあります

また、持病の薬を服用している場合は、市販薬と飲み合わせにも注意が必要です。出発前に、薬剤師や医師に確認しておくようにしましょう。

薬を使う人の年齢や持病などを考えて準備する

常備薬セットは、使う人によって注意すべき点が異なります。

子どもの場合は、年齢や体重に合った薬を選ぶことに加え、シロップ剤などの使いやすい薬の形で用意しておくことも大切です。

高齢者では、複数の持病の薬を服用していることが多いため、飲み合わせや副作用に注意して薬を選ぶ必要があります。

また、持病がある方は、いつも飲んでいる薬を余裕を持ってもらっておくことや、旅行中に薬が切れてしまわないよう少し多めに持参するなどの準備が欠かせません。

家族で海外旅行に行く場合は、それぞれの年齢や体調、持病に合わせて必要な薬を準備しておくと安心です。

常備薬を準備して安心して旅行を楽しみましょう

海外旅行では、日本と同じように医療機関を受診できなかったり、必要な薬をすぐに入手できなかったりすることがあります。

そのため、常備薬セットの準備は「もしものため」だけでなく、安心して旅を楽しむための大切な準備といえるでしょう。

今回のポイントを整理すると、次のとおりです。

  • 万が一の体調不良に備えて、日本から使い慣れた薬を持参する
  • 下痢止め・風邪薬・酔い止めなど、旅行先で起こりやすい症状に備えて準備する
  • 旅行日数+予備日数分を用意しておく
  • 飲み合わせや副作用、年齢や持病を考慮して選ぶ

事前に少し準備しておくだけで、旅先での不安を大きく減らすことができます。

ぜひ、自分や同行者に合った常備薬セットを整えて、快適で安心な海外旅行を楽しんでください。

参考文献

海外渡航先への医薬品の携帯による持ち込み・持ち出しの手続きについて/厚生労働省